整数問題は3つの道具で解く
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整数問題は「ひらめきがないと解けない」と思われがちです。でも、国公立二次でよく出る整数問題の多くは、決まった道具をいくつか持っていれば手が動きます。
この記事では、まず押さえたい3つの道具を例題で紹介します。あわせて、答えは合っているのに理由が抜けて点を落としやすいところも見ていきます。
共通テストに出なくても、二次では出る
新しい学習指導要領では、整数は数学Aの「数学と人間の活動」という単元に入りました。この単元は共通テストの出題範囲外です。
一方で、二次試験の数学Aについて「全範囲は含まない」とする大学は少ない、と受験情報誌でも指摘されています。共通テスト対策だけをしていると、整数の演習量が足りないまま二次の過去問に入ることになりがちです。志望校の募集要項で出題範囲を確認したうえで、早めに手をつけておきましょう。
3つの道具
| 道具 | どんなときに使うか | 答案で書き落としやすいこと |
|---|---|---|
| ① 積の形にする | xy や x² などをふくむ方程式で、整数の組を求めるとき | 約数の組をすべて挙げたか、負の組を考えたか |
| ② 範囲をしぼる | 分数の和や、大小関係のある文字をふくむ式のとき | 大小の順番を仮定してよい理由、範囲の端の値の確認 |
| ③ 余りで分ける | 「〜は存在しない」「〜は〇の倍数」を示すとき | すべての場合を尽くしているか |
例題1:積の形にする
問題xy = 2x + 3y + 1 を満たす正の整数 x, y の組をすべて求めよ。
xy − 2x − 3y = 1
(x − 3)(y − 2) = 7
7 = 1×7 = 7×1 だから
(x − 3, y − 2) = (1, 7), (7, 1)
よって (x, y) = (4, 9), (10, 3)
答えは合っています。しかし、x − 3 や y − 2 は負の数になることもあります。7 = (−1)×(−7) = (−7)×(−1) という組を考えていない、あるいは考えたけれど除いた理由が書かれていない答案は、採点者から見ると「負の組を見落としている」のと区別がつきません。
xy − 2x − 3y = 1 より
(x − 3)(y − 2) − 6 = 1
(x − 3)(y − 2) = 7
x, y は正の整数なので、x − 3 ≧ −2、y − 2 ≧ −1 である。
x − 3、y − 2 は整数で、積が 7 になる組は
(1, 7), (7, 1), (−1, −7), (−7, −1)
このうち (−1, −7) は y − 2 = −7 < −1、(−7, −1) は x − 3 = −7 < −2 となり、条件に合わない。
よって (x − 3, y − 2) = (1, 7), (7, 1) で、
(x, y) = (4, 9), (10, 3)
ポイント「xy の項があれば (x − ○)(y − △) の形を作る」が積の形にするコツです。(x − 3)(y − 2) を展開すると xy − 2x − 3y + 6 になるので、xy − 2x − 3y = (x − 3)(y − 2) − 6 と書きかえられます。そして、負の約数の組を「調べたうえで除いた」ことを1行書きましょう。答えが同じでも、理由の有無で答案の評価が変わり得ることは、「数学の記述答案で点を落とさない書き方」でも紹介しました。
例題2:範囲をしぼる
問題1/x + 1/y + 1/z = 1、x ≦ y ≦ z を満たす正の整数 x, y, z の組をすべて求めよ。
文字が3つもあると、どこから手をつけてよいか迷います。ここで使うのが「いちばん小さい x に注目する」という発想です。x ≦ y ≦ z なので 1/x ≧ 1/y ≧ 1/z。つまり 1/x がいちばん大きい項です。3つの項の和が 1 なので、いちばん大きい 1/x は 1/3 以上でなければいけません。
x ≦ y ≦ z より 1/x ≧ 1/y ≧ 1/z なので
1 = 1/x + 1/y + 1/z ≦ 3/x
よって x ≦ 3
x = 1 のとき、1/y + 1/z = 0 となるが、左辺は正なので不適。
x = 2 のとき、1/y + 1/z = 1/2
y ≦ z より 1/2 ≦ 2/y なので y ≦ 4。また 1/y < 1/2 なので y > 2。
y = 3 のとき 1/z = 1/6 より z = 6
y = 4 のとき 1/z = 1/4 より z = 4
x = 3 のとき、1/y + 1/z = 2/3
y ≦ z より 2/3 ≦ 2/y なので y ≦ 3。y ≧ x = 3 より y = 3、このとき 1/z = 1/3 より z = 3
以上より (x, y, z) = (2, 3, 6), (2, 4, 4), (3, 3, 3)
ポイント不等式で「x ≦ 3」のように候補を有限個にしぼれば、あとは1つずつ調べるだけです。しぼった後は、端の値(ここでは x = 1)も忘れずに調べましょう。
なお、問題に x ≦ y ≦ z の条件がなく「正の整数の組をすべて求めよ」とある場合は、「x, y, z を入れかえても式は変わらないので、x ≦ y ≦ z として求め、最後に並べかえる」と理由を書いてから大小を仮定します。この1行がないと、勝手に条件を足したように見えてしまいます。
例題3:余りで分ける
問題x² + y² = 2027 を満たす整数 x, y は存在しないことを示せ。
「存在しない」ことを示すのに、x, y に数を1つずつ入れて確かめることはできません(整数は無限にあります)。そこで、すべての整数を「4で割った余り」で分類します。ポイントは、平方数を4で割った余りが限られていることです。
整数 n について、n² を 4 で割った余りを調べる。
n が偶数のとき、n = 2k(k は整数)とおくと n² = 4k² なので、余りは 0
n が奇数のとき、n = 2k + 1(k は整数)とおくと n² = 4k² + 4k + 1 = 4(k² + k) + 1 なので、余りは 1
よって、x² と y² を 4 で割った余りはそれぞれ 0 か 1 であり、x² + y² を 4 で割った余りは 0, 1, 2 のいずれかである。
一方、2027 = 4×506 + 3 なので、2027 を 4 で割った余りは 3 である。
したがって x² + y² = 2027 を満たす整数 x, y は存在しない。
ポイント「偶数のとき」「奇数のとき」で、すべての整数を漏れなく分けているところが大切です。何で割るかは問題によって変わります。平方数が出てきたら 3 や 4、立方数が出てきたら 7 や 9 で割った余りを試すと、うまく分類できることがよくあります。
答案で「n = 2k とおく」と書くときは、「k は整数」の一言も忘れずに。
どの道具を使うか迷ったら
- 等式で、整数の組を求める問題 → まず「積の形にできないか」を考える。できなければ「範囲をしぼる」
- 文字が3つ以上、または分数の和 → いちばん小さい文字(いちばん大きい項)に注目して「範囲をしぼる」
- 「存在しない」「〜の倍数である」を示す問題 → 「余りで分ける」。何で割るかは、小さい数で試して余りの並びを見る
実際の二次試験では、この3つを組み合わせて使う問題も多くあります。たとえば、積の形にしてから範囲をしぼる、余りで分けてから場合ごとに積の形にする、といった流れです。
よくある質問
Q. 整数問題は、いくつか数を代入して答えが見つかれば十分ですか?
A. 見つけた組が答えであることは確かめられても、「それ以外にないこと」は示せていません。積の形や範囲のしぼり込みで「候補はこれだけ」と言い切るところまで書いて、はじめて「すべて求めた」答案になります。
Q. 余りで分けるとき、何で割ればいいかがわかりません。
A. 小さい数(2, 3, 4, …)で割った余りを、0 から順に書き出してみるのが近道です。たとえば平方数を 4 で割った余りは、0, 1, 0, 1, … と 0 か 1 しか出てこないことが、書き出すとすぐわかります。
Q. 整数問題はいつごろから対策すればいいですか?
A. 共通テストに出ない分、後回しにされがちな単元です。共通テスト直前になると時間がとれないので、それより前に、基本の3つの道具を使う典型問題を一通り解いておくのがおすすめです。
mondaibase の演習問題の解説では、正解の道すじだけでなく、つまずきやすいポイントや、よくある誤答のパターンもあわせて書いています。
参考
- 旺文社 大学受験パスナビ「新課程入試の変化と対策(数学)」 https://passnavi.obunsha.co.jp/article/keisetsu_jidai/2412/04/?p=3