微積の面積は「上−下」と「交点」で決まる
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定積分で面積を求める問題は、数学IIの微分・積分で学ぶ内容です。文系・理系を問わず、二次試験の過去問でよく見かけるテーマの1つです。
計算そのものは難しくないのに、「答えがマイナスになった」「0 になった」「どこからどこまで積分するのか分からない」とつまずく人が多い単元でもあります。この記事では、面積の問題を3つのステップに分けて、例題で確認していきます。
面積は3ステップで求める
| ステップ | やること | 答案で書き落としやすいこと |
|---|---|---|
| ① 交点を求める | 2つのグラフの式を連立して、積分の範囲(端)を決める | 交点の x 座標を求める式 |
| ② 上下を確かめる | 範囲の中で、どちらのグラフが上にあるかを調べる | 「この範囲で ○ ≧ △」という一言 |
| ③ 区切って積分する | 上下が入れかわる所があれば、そこで区切って「上−下」を積分する | 区切った理由と、それぞれの範囲 |
面積は必ず正の値です。「上の式 − 下の式」を積分すれば、自然に正の値が出てきます。答えがマイナスや 0 になったら、②か③で間違えているサインです。
例題1:放物線と直線で囲まれた面積
問題放物線 y = x² と直線 y = x + 2 で囲まれた部分の面積 S を求めよ。
x² = x + 2 より x = −1, 2
S = ∫[−1→2] (x² − x − 2) dx = −9/2
交点は正しく求められています。しかし、−1 ≦ x ≦ 2 では直線のほうが上にあるので、「上−下」は (x + 2) − x² です。引き算の順番が逆なので、答えがマイナスになっています。最後に絶対値をつけて 9/2 とする答案も見かけますが、上下を確かめていないことが採点者に伝わってしまいます。
x² = x + 2 より x² − x − 2 = 0、(x + 1)(x − 2) = 0 なので x = −1, 2
−1 ≦ x ≦ 2 では (x + 2) − x² = −(x + 1)(x − 2) ≧ 0 なので、直線が放物線の上にある。
S = ∫[−1→2] {(x + 2) − x²} dx
= [x²/2 + 2x − x³/3] (x = −1 から 2 まで)
= (2 + 4 − 8/3) − (1/2 − 2 + 1/3)
= 10/3 + 7/6
= 9/2
ポイント「上−下」が因数分解できる形 −(x + 1)(x − 2) になっていることに注目しましょう。上下を確かめる一言は、この因数分解の符号を見るだけで書けます。
1/6公式で計算を短くする
例題1の積分は、次の公式を使うとすぐに計算できます。
∫[α→β] (x − α)(x − β) dx = −(β − α)³/6
例題1では「上−下」が −(x + 1)(x − 2) なので、
S = −∫[−1→2] (x + 1)(x − 2) dx = (2 − (−1))³/6 = 27/6 = 9/2
となり、例題1の答えと一致します。
この公式が使えるのは、「上−下」が (x − α)(x − β) の定数倍で、積分の範囲がちょうど α から β までのときです。放物線と直線、放物線どうしで囲まれた部分は、多くがこの形になります。答案では、「上−下」を因数分解した式と、公式を使った計算を1行ずつ書いておくと、採点する人がどこを見ても確かめられる答案になります。
例題2:上下が入れかわるときは区切る
問題曲線 y = x³ − x と x 軸で囲まれた部分の面積 S を求めよ。
x³ − x = 0 より x = −1, 0, 1
S = ∫[−1→1] (x³ − x) dx = 0
図をかくと、囲まれた部分は2つあり、どちらも面積は 0 ではありません。−1 ≦ x ≦ 0 では曲線が x 軸の上、0 ≦ x ≦ 1 では x 軸の下にあります。上下が入れかわる x = 0 で区切らずに積分したため、プラスとマイナスが打ち消し合って 0 になってしまいました。
x³ − x = x(x + 1)(x − 1) = 0 より x = −1, 0, 1
−1 ≦ x ≦ 0 では x³ − x ≧ 0、0 ≦ x ≦ 1 では x³ − x ≦ 0 である。
S = ∫[−1→0] (x³ − x) dx + ∫[0→1] {0 − (x³ − x)} dx
= [x⁴/4 − x²/2] (x = −1 から 0 まで) − [x⁴/4 − x²/2] (x = 0 から 1 まで)
= 1/4 − (−1/4)
= 1/2
ポイント交点が3つ以上あるときは、交点で範囲を区切り、区間ごとに「上−下」を確かめます。符号の確認は、因数分解した式 x(x + 1)(x − 1) に区間内の値(たとえば x = −1/2 や x = 1/2)を入れてみるのが確実です。
例題3:文字を含む面積の最小値
問題点 (0, 1) を通り傾き m の直線と、放物線 y = x² で囲まれた部分の面積を S(m) とする。S(m) の最小値と、そのときの m を求めよ。
直線は y = mx + 1 です。交点の x 座標は x² − mx − 1 = 0 の解ですが、きれいな数にはなりません。そこで、解を α, β (α < β) とおいたまま 1/6 公式を使い、最後に解と係数の関係で m の式に直します。
直線の式は y = mx + 1。
x² = mx + 1 より x² − mx − 1 = 0 …(*)
(*) の判別式は m² + 4 > 0 なので、(*) は異なる2つの実数解 α, β (α < β) をもつ。
α ≦ x ≦ β では (mx + 1) − x² = −(x − α)(x − β) ≧ 0 なので、直線が放物線の上にある。
S(m) = −∫[α→β] (x − α)(x − β) dx = (β − α)³/6
解と係数の関係より α + β = m、αβ = −1 なので
(β − α)² = (α + β)² − 4αβ = m² + 4
β − α > 0 より β − α = √(m² + 4)
よって S(m) = (m² + 4)√(m² + 4)/6
m² + 4 ≧ 4 で、等号は m = 0 のとき。S(m) は m² + 4 が大きいほど大きいので、
最小値は 4×2/6 = 4/3(m = 0 のとき)
ポイント交点がきれいに求まらなくても、α, β とおいて進めれば面積は計算できます。「(β − α)² = (α + β)² − 4αβ」は、1/6 公式と組み合わせてよく使う変形です。また、2つの実数解をもつこと(判別式が正)を確かめてから α, β とおいている点も、答案では書き落とさないようにしましょう。
よくあるつまずきチェックリスト
- 答えがマイナスになった → 「上−下」の順番が逆になっていないか
- 答えが 0 や小さすぎる値になった → 上下が入れかわる所で区切ったか
- 1/6 公式を使ったら答えが合わない → 「上−下」の x² の係数を掛け忘れていないか(例:2x² − … なら 2 倍になる)
- 交点が求まらない → α, β とおいて、解と係数の関係で進められないか
よくある質問
Q. 1/6 公式は答案で使ってもいいですか?
A. 公式は積分の計算をまとめただけなので、使うこと自体は問題ありません。ただし採点基準は大学ごとに公表されていないことが多いので、「上−下」を因数分解した式と、公式に代入した計算は省略せずに書いておくのが安心です。
Q. グラフはかいたほうがいいですか?
A. 上下関係や囲まれた部分の形を確かめるために、下書きでは必ずかきましょう。答案にも簡単な図をそえると、どの部分の面積を求めているかが採点者に伝わりやすくなります。
Q. 文系でも面積の問題は出ますか?
A. 面積は数学IIの内容なので、二次試験で数学IIまでを範囲にしている大学では出題される可能性があります。志望校の募集要項で出題範囲を確認しておきましょう。
答案の書き方全体については、「数学の記述答案で点を落とさない書き方」でも解説しています。
mondaibase の演習問題の解説では、正解の道すじだけでなく、つまずきやすいポイントや、よくある誤答のパターンもあわせて書いています。